映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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イーオン・フラッグス(2005)

シャーリーズ・セロンがしなやかに戦う
女性の視点で描かれた新アクションヒロイン

近未来の女性革命戦士イーオン・フラッグスの活躍を描いたMTVの同名アニメシリーズは、『アニマトリックス』(’03年)の監督としても知られるピーター・チョンが1995年に製作し、本国アメリカでは、カルト的人気を得た作品でした。

しかし、『モンスター』(’03年)で念願のアカデミー主演女優賞に輝いたシャーリーズ・セロン初のアクションヒロインを演じるとあって、メジャー大作に大変身しました。

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【ストーリー】
時は西暦2045年、人類の99%がウィルスによって死滅してから400年後の未来。生き残った500万人の人間は汚染された外界と壁で隔てられた都市ブレーニャで暮らしていました。そこは一見、病気も戦争もない平穏なコミュニティーのようでしたが、人々は政府の圧制に苦しめられていました。
非情な政府に立ち向かう反政府組織モニカンの女性戦士イーオン(シャーリーズ・セロン)は、唯一の肉親である妹を政府に殺された復讐のため、君主トレバー(マートン・チョーカシュ)の暗殺に挑みます。

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チャーリーズ・エンジェル』(’00年)、『トゥーム・レイダー』(‘01年)、『バイオハザード』(’02年)など、2000年代前半、女性的魅力と強さを兼ね備えたアクションヒロインが次々に生まれたことにより、アクション映画に女性の観客が増えたそうです。

サイボーグかと見まがうくらい完璧な容姿のセロンを要した本作も、女性をメインターゲットにした作品なのでしょう。桜が舞い散る中での戦いや、体操選手を思わせるしなやかな動きなど、和風テイストの自然美や風流、優雅さを意識したアクションは男性には物足りないはずだから。

興行的には成功し、続編が作られた作品もありましたが、アクションヒロイン映画は内容よりも有名女優がアクションを演じる意外性だけが興味の対象になっているようでした。

本作については、MTVのアニメが原作という点で、ストーリーに工夫を凝らす作品でないのは納得できますし、その分、美しくてセクシーなセロンを含めた、ビジュアルで魅せようという方向性も分かるのですが、近未来感を表現するあまりの、滑稽な設定が目立ち、ラジー賞総なめの『キャット・ウーマン』(’04年)の再来といった感がありました。『キャット・ウーマン』の主演も、『チョコレート』(‘01年)でオスカーを獲得したばかりのハル・ベリーでした。

監督は、アメコミ映画には珍しい女性監督カリン・クサマ。イーオンの相棒となる、2本の足を手に改造したシサンドラという女性キャラクターも独特の味わいを出して頑張っています。

露出度満点の寝巻きまで身に付けたセロンとともに、アクション映画製作という男の牙城に新風を吹き込もうと試みた女性たちの意欲作ではありましたが……。


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