釣りバカ日誌19 ようこそ! 鈴木建設御一行様(2008)
楽しくて、温かい日本の国民的人気シリーズ
幸せに生きるためのヒントが詰まった極上の人情喜劇
1988年の初公開から本作で通算21作を迎えた人気シリーズですが、根強いファンがいる一方で、洋画ファンや若い人々の中には、未見の人も多いのではないでしょうか?
でも、それはもったいないです。思い切り笑えて、心がじんわり熱くなる、温かさと優しさに包まれた極上の人情喜劇なのだから。
実は私も機会があり、本作から初めて見たのですが、最高に面白かったです。
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【ストーリー】
鈴木建設の会社員、通称ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)はバカが付くほど釣り好き。明け方まで釣りをした後、会社に直行して早速ひと悶着起こします。
職場に入るためのカードキーをいつも忘れたり、Eメールをチェックしなかったり、会社員としてはかなり困り者なのですが、陽気で自由奔放なハマちゃんの一挙一動が本当に愉快です。
会社の健康診断にひっかかり、胃カメラを飲むはめになったハマちゃんの騒ぎぶりには腹がよじれるほど笑わせられます。愛すべきハマちゃん像を確立した西田敏行は、本当に素晴らしい喜劇役者です。
胃カメラ騒動で知り合った総務部の河井波子(常盤貴子)引率の下、ハマちゃんや同僚たちは社員旅行で大分へ向かいます。そこでハマちゃんは、図らずも彼の新しい部下できまじめな高田大輔(山本太郎)が片思いの波子に告白するのを助けることになります。
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胃カメラ騒動が伏線となる物語はいたってシンプルですが、現実的で身近なエピソードの数々にぐっと引きつけられるはずです。
ハマちゃんやスーさん(三国連太郎)がセキュリティ強化のために導入された会社のカードキーに腹を立てたり、派遣社員の波子が将来に不安を感じたりなど、人と人との信頼感の希薄や格差社会など、現代のどこか間違っている風潮にユーモアを交えてやんわりと警鐘を与えます。
とびきり仲の良いハマちゃんとみち子さん(浅田美代子)夫婦の微笑ましいやり取りもこのシリーズの魅力。大分県の自然や地元の人々と触れ合う旅行シーンは楽しくて心癒されます。
平凡な日々をただ誠実に生きようとする人々のささやかな物語ですが、窮屈な社会で幸せに生きるためのヒントがたくさん詰まっています。