映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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交渉人(1998)

言葉を武器に人質犯を追いつめる交渉人の
知性と頭脳の極限の戦いを描いたアクションフィルム

交渉人(ネゴシエーター)とは人質事件のスペシャリスト。その名のとおり、人質を無事解放するのが使命です。

正義が正義を証明するために悪になる――。このアイロニーの構図に、まったく対照的なふたりの男が真っ向勝負を挑む本作は、数々作られた警官VS犯人の攻防を題材にしたアクションフィルムの中でも異色作です。

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【ストーリー】
ある日、シカゴ警察で人質事件が発生し、早速交渉人が出動します。しかし、その人質犯も交渉人だったことから、人質救出のための熾烈な駆け引きが幕を開けます。
この人質事件には警察内で起こった組織的な横領事件が背景にあり、人質犯となった交渉人は自らの潔白を証明するための危険な賭けに出たのでした。

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犯人となったのは熱血型で大胆不敵な戦法の交渉人、対するはクールにあくまで話術による平和的解決が信条の交渉人。まったく対照的な交渉術をもつものの、知性と頭脳においてはまったく互角の両者に、横領事件の疑いがかかる警察組織がからみ、三者三様の思惑が人質事件を予想外の結末へ導いていきます。

力ずくで犯人を追いつめるのもアクションの醍醐味ですが、ビジュアルだけでは飽き足りなくなった人には、言葉ひとつで二転三転してゆく息詰まる戦いを先回りして、自ら解決に挑戦してみるのもいいかもしれません。

熱血型のダニー・ローマンにはサミュエル・L・ジャクソン、クールなクリス・セイビアンにはケビン・スぺーシーが扮しています。当初ダニー役に決まっていたシルベスター・スタローンの降板により、かつて『評決のとき』で犯人対検事という形で激突した両者の顔合わせになりました。

監督はブラックミュージックのミュージック・ビデオで手腕を評価され、映画界では2作目の『セット・イット・オフ』で一躍注目を浴びた新鋭F・ゲイリー・グレイ。

巧妙に練られた脚本は『ジャック』のジェイムズ・デ・モナコと新人ケビン・フォックス。『タイタニック』でオスカーを獲得したラッセル・カーペンターが撮影にあたり、シカゴの闇に繰り広げられる一触即発の緊迫感を生み出しています。

また、横領事件の鍵を握り、人質となる内務捜査官ニーバウムに扮したJ.T.ウォルシュは本作品が遺作となりました。


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