映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009)

全身タトゥーの危険なヒロインが怖すぎる――
アンダーグラウンドの雰囲気漂う傑作北欧ミステリー

北欧スウェーデンで生まれ、世界中でベストセラーを記録して社会現象となったミステリー小説『ミレニアム』。日本でも『このミステリーがすごい!2010年版』(宝島社発行)で海外編の第2位に選ばれるなど、傑作の呼び声高いサスペンスミステリーの待望の映画版第1作です。

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【ストーリー】
ジャーナリストで月刊誌『ミレニアム』の発行責任者、ミカエル・ブルムクヴィスト(ミカエル・ニクヴィスト)は、大物実業家を告発した記事で名誉棄損罪となります。『ミレニアム』を去り、巨額の損害賠償金を抱えた失意のミカエルの元に、40年前に忽然と姿を消した16歳の少女の調査依頼が舞い込みます。依頼主は大企業の元会長ヘンドリック・ヴァンダルで、失踪したのは彼の姪ハリエット。ミカエルは事件の舞台となったスウェーデン北部の孤島ヘーデビー島にあるヘンドリックの屋敷に移り住み、調査を開始します。

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スウェーデンの静かな孤島で何があったのか。ミカエルがヴァンダル一族の忌まわしい過去やハリエットの日記から謎の記号を見つけ、着々と謎解きの伏線が張られます。その一方で、怪しげな女の行動が描かれ、ミステリアスな雰囲気を高めます。

鼻ピアスに全身タトゥー、反社会的なリスベット(ノオミ・ラバス)から危険なアンダーグラウンドの雰囲気が漂ってきます。過去に事件を起こしたらしいリスベットは、不安定な精神状態から後見人の観察保護下に置かれています。新任後見人から性的虐待を受けたり、チンピラのような男たちを相手に大乱闘したり、あまりに荒んだリベットの姿は見ていて辛くなります。しかし、リスベットの異色のキャラクター性が原作の人気源でもあるのです。

実はリスベットは天才ハッカーであり、図らずもミカエルを助け、ハリエット失踪の謎を追うことになります。

まったく証拠のなかった事件の真相が、ミカエルの明晰な頭脳とリスベットの卓越したコンピューター技術を駆使して、徐々に明らかになる中盤以降は、ミカエルらの身に危険が及ぶスリリングなアクションシーンを絡め、サスペンスミステリーの醍醐味が存分に味わええます。

挫折したミハエルやトラウマを抱えたリスベットの再生物語も組み込まれ、上映時間は2時間半の長尺ですが、決して長さを感じさせません。北欧調の荘厳さと陰鬱さを備えた不思議な物語世界へとぐいぐい引き込まれていきます。

原作者のスティーブン・ラーソンは、本作で待望の作家デビューを飾りましたが、出版直前に50歳の若さで急逝してしまいました。そんな伝説の作家が遺した『ミレニアム』シリーズは全3部作。残る2作『火と戯れる女』『眠れる女と狂卓の騎士』も映画化され大ヒットを記録しました。

また、ハリウッドでもダニエル・クレイグ主演でリメイクされたました。


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