ボルグVSマッケンローの伝説の試合を再現
孤高のスポーツ、テニスの醍醐味と奥深さを堪能
毎年7月にイギリス・ロンドン郊外の町ウィンブルドンで行われる「全英オープン(通称ウィンブルドン)」は伝統と格式があるテニストーナメントで、そこで優勝することはテニスプレイヤーにとって憧れであり、格別でしょう。
私はテニスが大好きなのですが、「ウィンブルドン」の時期はワクワクして、毎日、NHKのテニス中継を見ています。
本作はかつて「ウィンブルドン」で繰り広げられた伝説の試合の舞台裏を描いています。
常に冷静沈着で「氷の男」の異名をとる絶対王者のビヨン・ボルグと、試合中に暴言やつばを吐くなど気持ちに任せた放漫な振る舞いで、「悪童」とも言われたジョン・マッケンロー。
’70年代~’80年代のテニス界で、絶大な人気を誇った伝説のプレイヤーが1980年、ウィンブルドン決勝戦で3時間53分にわたる激闘を繰り広げ、華麗な技と卓越した精神力で両者一歩も譲らぬ試合は、人々を熱狂と興奮の渦に包みました。
本作では、そんな伝説の試合が生まれる軌跡を描き、ボルグとマッケンローの秘められた実像を明らかにしています。
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【ストーリー】
ウィンブルドンを4連覇中の24歳のボルグは一躍世界中から注目される存在となりました。しかし、幼い頃から、“キレやすい”自身の精神をコントロールしてきたボルグは、さらに5連覇へのプレッシャーから押しつぶされそうになっていました。
一方、マッケンローは、“キレやすい”性格ばかりが、世間で強調されることにイラ立ちを抱えていました。
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苦悩と葛藤に満ちたボルグのテニス人生を軸に描いた物語は、終始、緊張感が張り詰めています。
リアルタイムでこの試合を見て、感銘を受けたというヤヌス・メッツ監督は、抑制された演出でボルグの極限状態を表し、伝説の試合に向け、徐々にボルテージを上げていきます。
神経質すぎるボルグが乗り移ったかのような陰鬱な雰囲気に、爽やかなテニスドラマをイメージすると期待を裏切るかもしれません。
しかし、技術とともに精神面が大きく影響する孤高のスポーツ、テニスの醍醐味と奥深さを存分に堪能できます。
ボルグには、スウェーデン人俳優スベリル・グドナソン、マッケンローには、『トランスフォーマー』のシャイア・ラブーフ。共に本人を彷彿させる容貌と熱演も見どころです。