映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017)

〈人を想う大切さ〉が心にしみる
優しさにあふれたファンタジー

原作は東野圭吾史上、最も泣ける感動作」と評されるベストセラー小説。時代を超えて届けられる手紙が紡ぐ奇蹟を描く、優しさにあふれたファンタジーです。

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【ストーリー】
1970年代、心優しい浪矢(西田敏行)の営むナミヤ雑貨店は、悩み相談に答えてくれるということで、町の子どもたちの間で人気でした。
2012年、今は空き家となったナミヤ雑貨店へ、女性起業家の家に盗みに入った3人の若者、敦也(山田涼介)、翔太(村上虹郎)、幸平(寛一郎)が逃げ込んできます。
1980年、プロのミュージシャンを目指し、東京の大学を中退した松岡(林遣都)が祖父の葬儀のために故郷へ戻ってきます。魚屋を営む父(小林薫)の体調が良くないと知った松岡は夢を追うべきか悩み、ふと通りかかったナミヤ雑貨店に悩み相談の手紙を書くことにします。
同じく1980年、晴美(尾野真千子)は、恩人の窮地を救うため、金持ちの愛人になるか悩み、ナミヤ雑貨店に出紙を出します。するとそれらの手紙は、なぜか敦也たちの元へ届けられます。

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時代を超えて交わされる悩みと、その回答の手紙。相談者は将来に惑う若者たちで、持て余した悩みを、藁にもすがる思いでナミヤ雑貨店に相談します。

ところが、それらに答えるのは、養護施設で育った現代の若者たち。不幸な生い立ちから、世をすねる敦也が、厳しい回答を返したり、ピュアな幸平が励ましの回答を返したりと、いわば適当に返事しているのですが、回答を信じた相談者たちの行動は、さまざまな人々の人生に影響を与えていくことになります。

松岡や晴美、浪矢、シンガーソングライターのセリ(門脇麦)、そして敦也たちをメインにした5つのエピソードが描かれています。それぞれの人生が微妙に絡んでいることが徐々に明らかになる複雑な小説のプロットを的確に再現した脚本が秀逸です。

陰のある敦也を好演した山田涼介、温かみのある浪矢役でさすがの存在感を発揮した西田敏行ら、豪華俳優陣の味のある演技も絶妙です。

また、この映画版の見どころの一つは、小説で松岡が作曲した「REBORN」を誕生させたこと。山下達郎が書き下ろし、「生きていく意味を教えてくれた人」という印象的なフレーズから始まる同名主題歌は、〈人を想う大切さ〉が心にしみる楽曲に仕上がっています。


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ナミヤ雑貨店の奇蹟


「ナミヤ雑貨店の奇蹟」オリジナル・サウンドトラック