映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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ティアーズ・オブ・ザ・サン(2003)

難民を救い出したヒロイックな兵士たちの姿に共感させた
『トレーニング・デイ』のアントワン・フークワ監督の演出が光る

流れる血が違うというだけで政治的、社会的な軋轢が生まれ、同じ国の人間が殺しあう――。理性を超えた恨みが原動力となる部族間抗争の恐ろしさと痛ましさは想像を絶します。

『トレーニング・デイ』のアントワン・フークワ監督は本作で感傷におぼれることなくその事実を克明に描き、安っぽい戦場のヒロイズムに留まらない、ずしりと胸に響く戦争アクションに仕上げました。

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【ストーリー】
反乱軍の暴挙が激化するナイジェリア。米海軍特殊シールドのウォーターズ大尉率いる8人の部隊はアメリカ国籍の女医リーナを国外脱出させるという任務を受けます。しかし医療奉仕団の一員であるリーナは治療中の難民も連れて脱出するよう主張します。その要求をのみ、ウォーターズは歩行可能な難民を連れて合流地点に向かいますが、救助ヘリに乗せたのはリーナだけで、難民たちは草原の真ん中に置き去りにされてしまいます。

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戦争映画の戦闘アクションで胸が痛まないものはないですが、無力の人間が巻き込まれる場合はなおさらです。

眼下に広がる殺戮の地獄絵図はヘリコプターを引き返し、難民たちを救おうとする兵士たちのヒロイックな心変わりを納得させるのに十分です。

軍の命令を破ってまで兵士たちを突き動かしたものは何なのでしょうか? フークワ監督は残酷な戦場の光景を淡々と描くことで観る者にその理由を考えさせ、兵士たちへ素直に共感できるようにしました。

ウォーターズ役の熱血俳優ブルース・ウィリス、リーナ役のフェロモン女優モニカ・ベルッチ、一見ミスキャストに思えるふたりの肉体派俳優がそのイメージを完全に拭い去り、生の重みを描いたドラマを演じきりました。


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