映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

チキンラン(2001)

個性豊かなチキンたちが繰り広げる
クレイアニメーションの不思議な世界

ありのままの姿を捉えた実写映像や、ファンタジックな夢の世界を創造できても、平面的なセルアニメーションでは出せないキャラクターの親近感や、手作りによるクラシックな味わい

ウォレスとグルミット』シリーズで、クレイアニメーションの不思議な世界を堪能させてくれたイギリスのアードマンアニメーションズがハリウッドに進出し、初めて長編フィルムに挑んだ作品です。

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【ストーリー】
イギリスのとある地方にあるトゥイーディー夫妻が経営する養鶏場では、連夜にわたる脱走劇が繰り広げられていました。首謀者は実直で勇敢なめんどりのジンジャー。強欲な女主人ミセス・トゥイーディーの支配下で卵を産み続ける人(?)生から逃れ、まだ見ぬ柵の向こうの自由の楽園をめざしています。
フェンスをくぐったり、飛び越えようとしたり、穴を掘ったりした脱出作戦はすべて失敗に終わりましたが、それにもめげずジンジャーが次の計画を練っていると、なんと空の彼方からおんどりが飛んできました。
ジンジャーはそのロッキーという名のサーカス団から逃げてきたおんどりをかくまう代わりに、飛び方を教えてもらう約束をします。そして、翌日からニワトリたちの猛特訓が始まります。
一方、細々とした養鶏場の経営にうんざりしていたミセス・トゥイーディーは、オリジナルのチキンパイを売り出そうと画策します。その原料はもちろんジンジャーたち。空飛ぶチキンになるか、チキンパイとなるか、まさに天国と地獄の選択を迫られたニワトリたちの運命やいかに……。

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アードマンアニメのトレードマークである顔の中央に寄った真ん丸お目目に、にっかり開いた口元からこぼれる真っ白な歯をしたキャラクターたちは個性豊かで実に愛らしい

モチーフになったスティーブ・マックイーン主演の『大脱走』を始め、『インディ・ジョーンズ』、『ET』などの名場面を取り入れた冒険アドベンチャーを、チキンたちがマジでやっているだけでも相当笑えますが、イギリス特有のシニカルなブラックユーモアを随所にちりばめたストーリーは抱腹絶倒ものです。

救世主であるはずのロッキーはアメリカ生まれの陽気な極楽とんぼで、イギリス生まれの実直なチキンたちが大いに振り回されるなんていう展開もくすりと笑ってしまいます。ロッキーの声を演じているのはメル・ギブソン。ときおりメル自身を彷彿させる表情を見せています。

アードマン社の設立者であるピーター・ロードと『ウォレスとグルミット』シリーズの生みの親であるニック・パークが監督、製作、原案を担当。180人のスタッフが携わり、563体のモデルが製作されました。

映画の制作作業は、わずか10インチのクレイマケットに手で少しずつ動きを付けながら、それをコマ撮りしていくため、1日にわずか3秒分のシーンしかできあがらないという緻密なものだったそうです。

準備期間約4年半、実際の撮影には18か月を費やした小さなチキンたちの大きな夢の物語世界各国で大ヒットを記録しました。日本でも本作の公開当時は『ピングー』や『ニャッキ』など、クレイアニメがブームになりましたが、『チキンラン』はクレイアニメの人気を決定づける1本となりました。

チキンラン (吹替版)

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