映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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オペラ座の怪人(2004)

プロ級の歌唱力を持つエミー・ロッサムが大健闘
オリジナルにもひけを取らない本格派のミュージカル映画

世界中で大ヒットを記録している人気ミュージカル『オペラ座の怪人』を映画化。オリジナルが未見でも本作を観れば、その素晴らしさは容易に想像できます。

セリフがいきなり歌に取って代わるミュージカル映画の違和感を軽減しようと設定や構成に趣向を凝らしたミュージカル映画が多いなか、本作は迫力ある楽曲と完璧な歌唱で勝負しています。本格派の音楽は観る者の胸にぐっと迫ります。

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【ストーリー】
19世紀のパリ。華やかなオペラ座の地下に潜む謎の怪人ファントム(ジェラルド・バトラー)と、彼を音楽の天使と慕う孤児の歌姫クリスティーヌ(エミー・ロッサム)の悲恋の物語がつづられます。
ファントムは愛するクリスティーヌをオペラ座プリマドンナにするためには殺人さえも厭いません。クリスティーヌは彼の狂気的な愛を恐れながらも抗えず、ファントムが彼女に捧げたオペラ「勝利のドン・ファン」の公演に臨みます。

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映画でも俳優たちが実際に歌っていますが、なんと言ってもクリスティーヌを演じたエミー・ロッサムの健闘が光ります。

同じく2004年製作のパニックアクション『デイ・アフター・トゥモロー』で注目された彼女は、7歳からニューヨークのメトロポリタン・オペラでキャリアを積んだオペラ歌手でもあります。

撮影時は若干17歳。か弱い乙女のような風貌は悲恋のヒロインにふさわしく、それでいて歌も完璧。純粋無垢なヒロインがファントムの歪んだ愛を受けて次第に成長するさまを情感のこもった歌声で巧みに表現しました。

おどろおどろしくも切ない悲恋の物語を見事に表わしたミュージカルのテーマ曲の使い方も劇的です。

舞台で演じる平面的なミュージカルに対して、さまざまな技術により立体的な空間を生み出せるのが映画の強み。ファントムの棲む妖しい地下の洞窟が初めて創造されたのを筆頭に、ジョエル・シュマッカー監督はファントムの痛ましい過去やラウルとファントムの対決など、ミュージカルにはないシーンを加え、多角的にオペラ座を捉えました。

厚みのある音楽とともに、奥行きのある映像や深みのあるストーリーにより、オペラ座の迷宮へ誘われます。

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